顔写真:阿部一郎 養蚕農家から花卉農家として、花つくりを始めたのは昭和10年からでした。
 その頃、父・伊勢次郎は家の前にある山を見て「前の雑木林の山に花を植えれば美しくてすばらしい山になる…」と申しておりました。
 意を決して山を開墾し、一本一本花を植えてゆき、私たち家族は、大きな喜びと夢を持つことができました。
 それから20年くらいも過ぎた頃、近隣の人々から山を見せてほしいと申し出がありました。父は「一人でこんなに美しい花々を見ていてはもったいない」と、昭和34年花見山公園と名付け「ご自由にご覧ください」と一般に開放し、半世紀もの時が過ぎました。
 昨年は、花木の養生のために、開園を1年休ませて頂きましたが、今年は園内が皆様の喜びの笑顔に満ち、山の花々も一層美しく感じられます。
 花はどんな自然災害にあっても、春ともなれば美しい花を咲かせて私たちを癒してくれます。そう教えてくれる花に負けないで、この度の東日本大震災も乗り越えて、私たちの人生社会に立ちあがって頂きたいと心から願っております。

2013年4月

阿部一郎